コインチェック被害対策弁護団からのご報告第1号

平成30年2月5日 コインチェック被害対策弁護団事務局

弁護団事務局からのご報告です。
お問い合わせいただいた被害者の皆様におかれましては、ご連絡までお待たせしてしまい申し訳ございません。
予想を超える多数の問い合わせを頂き、内容面、システム面に慎重を期しておりました。
弁護団としては引き続き全力で本件に向かっていく所存です。
おひとりおひとりの被害者から被害の詳細と今後の方針について事情を承りたく存じておりますが、数十万人とも言われる被害者総数に対して弁護士が個別の面談をすぐに行うことは難しい状況です。取り急ぎ弁護団からのご連絡はウェブサイトのお知らせ、ないしメールでの一括したご報告、あるいは後述する説明会にて進めてまいります。

1 第1次提訴について

本弁護団は、もともと団員の周囲でコインチェック社からの被害についてのお問い合わせが多かったことから結成を決意した経緯があります。そうした弁護団結成当初よりご相談を聞いていた被害者の方については聞き取りなども進んでおりますところ、上記の被害者の方々が第一陣の原告となります。
第1次提訴については弁護団の姿勢を明らかにし、コインチェック社の対応を見極めるためにも可能な限り早く行う所存です。また、全案件に共通する攻撃防御を顕出し、可能であれば第2次提訴以降の提訴についても併合審理を求めることで裁判の迅速化も目指して参ります。
具体的な提訴見込みとしては2月中旬のなるべく早い日を目指しております。

2 第2次以降の提訴について

第2次以降についても順次提訴を行っていく所存です。弁護団を結成以降ご連絡いただいている多くの方はこの第2次以降の提訴となります。
本件は上記の通りすべての案件について共通する部分も多く、第2次提訴についての準備次第で第1次提訴事件への併合の可能性は十分あると考えております。
ただし、本件は極めて多額の請求を立てる集団訴訟であり、またコインチェック社の資産状況や返済に向けた動きが不透明な中、倒産など今後の動き次第では弁護団として回収を断念せざるを得ないケース、逆にコインチェック社から早期に任意の弁済がなされるケースも考えられます。
そうした流動的な状況下において、ご本人確認、訴訟方針と弁護士費用など、明確なご了解を頂かないまま進めることは、拙速に過ぎ、ひいては被害者の皆様の二次的な被害にすらつながりかねません。
従って弁護団としては手続きに慎重を期すべきと考えております。
具体的な提訴方針、事件の進め方についてはウェブサイト、説明会などでご報告を予定しております。弁護士費用については下記4項をご覧ください。

3 原告の条件と現時点での請求の大まかな内容について

2次提訴にあたっては、原告としてXEMの残高をお持ちの方に限定しております。その理由は上記の通りコインチェック社の動向が分からない状況が続いているところ、仮に取引再開となった場合、XEMの残高がない方は訴訟を維持できるかどうかという問題もありますところ、預けていた仮想通貨が失われる、という最も深刻な被害にあったXEMを保有される方をまず優先して提訴する方針を決めたためです。
その他の通貨についても提訴は検討しております。
また請求の内容としては、現時点では「仮想通貨そのものの返却」を検討しております。市場が下落傾向にある現状では、下落した差額についても損害と考えるべき、という点は十分に考えられるのですが、まずは明確な訴訟物で請求を構成したうえで、コインチェック社の動向も見据えつつ、請求として追加していくことを検討しております。

4 説明会について

現在参加が見込まれる方々の人数を確認し、会場を抑えるべく準備を進めております。今月中に説明会を行う予定ですが、日時については確定次第、ウェブサイトおよびメールにてご報告を差し上げます。

5 弁護士費用について

基本的な方針としては、まずコインチェック社に対する提訴を進めてまいります。
弁護士費用は、委任時にお支払いいただく着手金と、判決時または和解成立時にいただく成功報酬があります。

【1】着手金について

請求額が1000万円までの方は、2万円(消費税別)です。請求額が1000万円を超えると2万円(税別)が追加となり、さらに1000万円ごとに同様に2万円(税別)が追加になります。例えば、5000万円の場合は10万8000円(税込)です。ただし、訴訟を提起する段階で裁判所に納める印紙代・郵券代が着手金の額を超えるときは協議により決めるものとします。
仮想通貨の返還(指定口座への送信)を求める場合は、この請求額とは、2018年1月25日の終値を基準に算定します。

この着手金には、提訴にあたって裁判所に納める印紙代・郵券代が含まれています。
通常、例えば160万円を請求する訴訟を提起する場合、1万6000円分の印紙と6000円分の郵券を裁判所に納める必要があります(合計1万9000円)。この訴訟では、多数の原告を束ねることにより、印紙と郵券を節約しようとしております。ただし、上記のとおり、一括提訴によることで超過しないように極力工夫いたしますが、集まった原告の人数と請求額によっては、どうしても実費が着手金の額を上回ってしまう場合が生じ得るので、その場合には超過した実費分はいただくことになります。

着手金は、原則としてお返しできません。

【2】成功報酬について

1.判決・和解等により仮想通貨の返還(指定した口座への送信)ないし日本円による支払いが認められた場合、これにより得られた「経済的利益」の10%相当額(税別)を報酬とします。「経済的利益」とは、返還(送信)が命じられた仮想通貨の時価、または支払いが命じられた日本円の金額を意味します。なお、当弁護団では、仮想通貨による報酬の支払も受け付けています。例えば、100XEMの送信を命じる判決を得た場合、10.8XEM(消費税率8%の場合)を成功報酬としてお支払いいただいても構いません。

2.コインチェック株式会社より顧客全員に任意の仮想通貨の返却(送信)、又は日本円による支払いが行われた場合には、以下のとおりとなります。

(1)提訴前
報酬は一切頂きません。

(2)提訴後
2%相当額(税別)を報酬として頂きます。ただし、NEMの返還に加えて、損害賠償を請求する場合において、上記1のとおり判決・和解等により損害賠償の支払いが認められた場合には、報酬額は経済的利益の10%となります。

3.訴訟外において交渉等により、CC社より原告団などの一部に限定して任意に、仮想通貨の返還(送信)または日本円による支払いが行われた場合には、これにより得られた経済的利益の10%相当額(税別)を報酬として頂きます。(1の和解成立のケースに準じます。)

4.コインチェック株式会社について破産・民事再生・会社更生等の倒産手続きが開始された場合には、以下のとおりとなります。

(1)提訴前
報酬は一切頂きません。
なお、訴訟手続についてはこれ以上行わず、委任契約も終了となります。その際も着手金は原則として返還できません。

(2)提訴後
配当等によって依頼者が得られることになった「経済的利益」の10%相当額(税別)を報酬とします。なお、この場合、破産法等の規定に従って訴訟は継続することになりますが、取下げ等の方針について依頼者と弁護団で協議します。

弁護団長より

今後の方向性につきましてはまだ未確定な部分も多くありますが、どのような方向性に進むとしても弁護団としましては全力を尽くしていきたいと考えております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
弁護団長 北 周士